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みかんのたね

薬学や研究の話、くだらない話、愚痴などを書きます。

死菌製剤というのがあるらしい

 『治療薬マニュアル』(薬剤師だったらみんな持ってる本。法学部のポケット六法のような位置づけだと思います)を斜め読みしていて発見したお薬があります。

 

エキザルベ

 

というお薬で、その組成は

<成分・含量(1g中)>

混合死菌浮遊液:0.166mL

 大腸菌死菌:約1.5億個

 ブドウ球菌死菌:約1.5億個

 レンサ球菌死菌:約0.15億個

 緑膿菌死菌:約0.15億個を含有

ヒドロコルチゾン:2.5mg

<添加物>

精製ラノリン

白色ワセリン

フェノール

 だそうです。詳細はこちら

どう考えても、培養した菌を煮沸するなどして殺し、その菌をワセリンに混ぜて軟膏にした、という感じのお薬ですね(そのまま)。

一体何に使うんだろうか?

私は自分の研究で大腸菌黄色ブドウ球菌の死菌を使って実験していたことがあり、正直「え?アレを身体に塗るの?」という印象です。

上記URLからお薬の詳細をだどると、次のような記述を見つけました。

効能又は効果 

湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している下記疾患
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、熱傷、術創

 湿疹様変化を伴う膿皮症(感染性湿疹様皮膚炎、湿疹様膿痂疹)

薬効薬理の欄には、次のような記述があります。

薬効薬理

1.本剤の局所感染防御作用、肉芽形成促進作用及び抗炎症作用は、混合死菌浮遊液及びヒドロコルチゾンの協力作用に基づく2)。(ラット、マウス)
2.混合死菌浮遊液は白血球遊走能を高め3)、局所感染防御作用を示す2)。(in vitro、マウス)
3. 混合死菌浮遊液は、肉芽形成促進作用により創傷治癒を促進する2)。(ラット)
4.ヒドロコルチゾンは血管透過性亢進抑制、浮腫抑制等の抗炎症作用を有する2)。(ラット)

つまり「傷口に(死んだ)菌を 塗ると、新しく侵入しようとする菌から身体を防御できることに加え、傷の治りも早くなる」ということのようですね。こんなお薬があるなんて驚きです。

毒は毒を以て…とは言いますが、お薬の世界もなかなか奥が深いですね。